<回想録>
2日目は、早く目が覚めたので、6時から温泉に浸かる。静かな朝だ。「もう都会に帰るのやめて、質素に北海道で暮らそうかな」と一瞬思ってしまう。
朝ごはんまで時間があるので、宿の周りを散歩する。
人もいないし、車も・・・。
あるのは、大自然だけ。
ずっとこういう所にいたら、いい人になり過ぎて、多分ふやけちゃうだろう。やっぱり無理だなあ。
現実逃避を終え、「腹は減っては、戦は出来ぬ」なので朝食を済まし、この日も9時過ぎに赤岩青巌峡へ移動。
この日は、「しゅうちょう岩」と格闘。
朝一番のトップバッターとして「これやって」と言われたのは、前日よりは何となく登りやすそうな課題。多分マサイ族(5.10a)だったと思う。(写真奥の方)
「これはガバガバだ!」ということで、昨日の「橋の岩」に比べれば動きやすい。トップロープで、のろのろと上がっていき、とりあえず終了点へ。ホッとする。
次にリード。クリッピングを始めたら、ぎこちない。ダメだ!
「※@×$¥~!!!」と言われやり直し。未熟な自分が悪い。
上がっていくと、最後のヒールをかけた後に、何度やっても右手が上手く取れない。もう終了点が見えているのに。
力を振り絞って、うりゃ~っとやったら、2週間前に皮がごそっととれた人差し指から、血がドバ~っと出てきてしまった。
自分の気力よりも、指皮が負けちゃった。岩に血糊つけて、下界に下りた。くやしい!これ登りたかったのに・・・。悲しい。
水筒に入れてきた真水で消毒。しばし休憩。
気付けば午後に・・・。どうやら他のみんなも、リードではこれ登れなかった模様。
「もうこの日は出来るの無いか・・・。指皮ちゃんもだめになっちゃったし」と思っていたら、更に簡単そうなのを見つけてきてくれて、それをみんなでやることに・・・。本当に申し訳ない。
この課題は、最初がすごく嫌な感じなんだけど、そこを過ぎるとガバが続き、何とか登れそうな気配。
みんなで始めるものの、最後のところで上手くムーブが出来ずに退散。わたしも登ってみるけど、みんなと同じ状態。
頑張ろうと思ったけど、左の人差し指が気になって思い切った動きが出来ない。
結局回収を先生にお願いすることに・・・。ビレイをしながら先生のムーブを見ているといつもの様になめらか、無駄がない。
「お前らには岩の声が聞こえないんだ。」という名言が頭の中でぐるぐるする。
まだまだ未熟者の私は、欠点だらけ。心技体全部なし。落ち込む。
「どこでも登れる魔法の指が欲しいよ~!」と言ったら、
友達は「それじゃつまんないでしょ!努力して登れるようになるから、クライミングは面白いんじゃないですか」と。
そりゃそうだ。めげずに努力するしかない。仲間の存在はありがたい。
その晩は、屋外での大宴会。ワイン飲んだり、花火したりしながら、占冠村の夜は更けていきました。