<回想録>
この日は槍沢から槍ヶ岳に向けて歩くはずですが・・・。
★日程: (2日目)2015年8月22日(土)
槍沢ロッジ→ババ平→大曲→天狗原分岐→槍ヶ岳?
★天気: (2日目)雨
★実際の様子
午前2時過ぎ。どっかのおっさんの声と、レジ袋のがさがさする音で目が覚める。イラッとしますが、布団かぶって寝る。でも、その後も女の人達の声が響き渡る。「まだ寝ている人が沢山いるんだよ。いい加減にしなさい!」と言いたいが我慢。
メジャーな山に来た私が多分悪い。
雨の音が聞こえる。午前3時半頃自分も起きる。起きても仲間とはアイコンタクトで挨拶するだけ。まだ寝ている人も多いから。荷物を持って、1階の土間へ移動。顔を洗いに外に出ると雨に濡れてしまった。とりあえず身支度をする。それから午前4時過ぎに、前日に朝食用にもらったお弁当を食べる。
この日は、一応6時半には出発らしいけど、この雨だともう少し後になるかな。やることが無くなったので、朝からおしゃべりする気分になれず、談話室でテレビのニュースや天気予報を眺めつつ、またしてもマンガを読んで時間潰す。
結局30分予定を遅らせ、7時11分に槍沢ロッジを出発。
歩き始めると、登山道は濡れている岩ばかり、その量はどんどん増えていく。踏まないで進むわけにもいかないけど、濡れている岩はやはりイヤだし怖い。注意しながら、でも遅くならないよう気をつけながら進む。
周りに目をやると、雲に覆われ昨日よりももっと視界が悪い。7:49にババ平付近を通過。
8:26には大曲付近を通過。U字谷の地形がよくわかる地点のはずなのに、雲のせいでハッキリと分からない。このあたりから雪渓が出てくる。気をつけて歩いていたのに転ぶ。またあざができた。
歩いていると沢を幾つも横切る。雨なのでどの沢も凄い量の水が流れてくる。岩がゴロゴロしていて落石があったらひとたまりもないなと思う。こういうところでは立ち止まってはいけないのです。
9:26には天狗原の分岐に到着。
少し立ち休憩。ここに来るまで、登りも下りもすれ違いが多い。でもペースは悪くない。
今日も不思議な登山者を多く見かけた。気になったのは、大量の雨が降っているのに、雨具をつけずにびしょ濡れのまま歩く学生さん達。北岳登った時は、適度な水分補給をしなかったために熱中症になりヘリコプターで搬送された若者がいたけど、ここで見た子達は低体温症が心配だ。でもどうしようもない・・・。
さらに進んで、「モレーンのハイ松帯」あるいは「グリーンバンド」と昭文社の地図に書かれた付近にある大きな岩の陰で休憩をする。
時刻は、10:23。歩いているときは、雨具を着ているせいもあり汗をかいて暑いけど、じっとしていると寒い。雨用のグローブも段々濡れてきた。まずい・・・。ここでガイドのアドバイスもあり、フリースを中に着込む。こんなの初めて。でも気温が低いし、こんな天気だから仕方がない。
これに雷も加わったら大変な事になるだろう。想像すればするほど恐ろしい。自然は厳しい。
みんな早く動きたい気分なので、温かいものを飲んで直ぐに歩き始めました。
歩くのは苦ではないし、まだまだ疲れはしないけど、今回は今まで経験したどの雨の中の山行よりも修行っぽい。何だか山が「そう簡単には登れないよ」と私を試しているよう。時間経過とともに雨は弱まるという話だったのに。
槍ヶ岳に初めて登った播隆上人が何十日も留まったという播隆窟の前を通り過ぎ、しばらくすると殺生ヒュッテが見えてきた。
ここまでくれば、晴れていれば当然槍ヶ岳が見えるはずなのに、何にも見えない。一歩一歩濡れた岩の上に足を出して身体を進めていく。
くねくねした登山道を登っていくと、岩に110mとか数字が書いてあることに気がつきました。どうやら槍までの距離のようです。数字は徐々に減り、上を見ると槍ヶ岳山荘が見えてきました。あと少し!
12:15ようやく槍ヶ岳山荘に到着!
雨は、霧雨になりほとんど気になりません。すぐ横に槍の穂先があるはずですが、雲で見えません。晴れていれば、今日山頂に登る予定でしたが、これでは無理。でも、ここまで来れただけで満足!ちょうど1年前の今日膝の手術をしたことを考えれば上等だ!
ずぶ濡れなので、雨具やフリースを脱ぎ、ドライルームやストーブの周りで乾かす。それからお昼!今日はラーメン。しょっぱくて温かいものが本当に有難い。
仲間と話をしているうちに、外を見ると、ベールの向こうに約3年もの間待ち望んでいた槍の穂先が姿をあらわしました。
明日あれ登るんだよね~。まだ実感がない。
時間は14:38。周りを見ると「これはチャンス!」と言わんばかりに、穂先に向けて登りだす人たちが・・・。
17時に夕食を済ませてると、天候は更に回復。
外に出てみると、言葉では言い尽くせない青い空。そして槍ヶ岳の穂先。
山頂に人がいるのが分かる。
反対側の山には、穂先の影が映っている。
感動を胸に、小屋付近を歩く。
ここには、慈恵医科大学の診療所もある。(写真の標識奥の建物)
消灯まで時間があるので、館内をふらつく。またまた談話室へ。ここにもテレビがあるし、マンガが沢山。
そして壁にはクライミングボードが!
いつも行っているジムの新しい壁と課題を思い出す。「早くいろんなことを克服して、強くなんないと・・・。」とどこに行ってもやっぱり頭からクライミングのことが離れない。
窓の外をみると星が。建物から出ると、数えきれないほど。天の川を見たのは何年振りだろう。見ていると心が洗われる。
明日は、4時起きなので、20時過ぎに横になる。目が覚めれば、穂先への本番だ!