<回想録>
槍ヶ岳に登った後は、「もうしばらく山はいいかな?」という感じで、燃え尽き症候群だったのですが、下界はめんどくさいことも多いし、「遠い飲み屋」という名の山小屋に惹かれ、9月最後の週末に八ヶ岳へ行ってきました。今回は、その時の記録です。
★行程:観音平→雲海展望台→押出川分岐→青年小屋
<実際の様子>
シルバーウイークも終わったその週末。また新宿7時発のあずさに乗りこみました。
今回は、直前まであんまり行く気力がなかったので、切符を買おうとしたら指定席が買えず、とはいえ小淵沢まで自由席も嫌なので、グリーン車に乗る。そのお金で民宿泊まれそうですが、まあいっか。しばらく泊りで山行かないから。
2両しかないのでかわいい。大学生の頃、あれに乗って清里に行ったなあ。
駅で仲間と合流。タクシーで観音平へ移動。
ガイドさんとはここで落ち合う。今回は、ガイドさんも含めると全部で8名なので、家族旅行みたい。小さなパーティだ。このメンバーで何度も一緒に山に入っているので、気心も知れていてラク。知らない人と歩くのはコワイ。脚力も山に対する考え方も違うから。
それにしても、土曜日なのに、この週末の天気予報が良くなかったのと、シルバーウィークの直後のせいか、閑散としている。でもこれから天気は回復するのです。
9:50に観音平を出発。樹林帯の中を歩きます。自分達以外の登山者は、ほとんどいない。コケとキノコがやたらと目につきます。キノコは、どれも凄い色をしている。食べたら死んじゃうなきっと。
あっという間に、10:47には雲海展望台に到着。辺りをみても、雲に覆われていて、山は見えない。10分ほど行動食を食べながら休憩し、その後再び歩き始めました。
11:55には、押出川の分岐に到着。ここは編笠山山頂への続く道との分岐。
今回は、編笠山には登らず、青年小屋方面へ向かう。その前に、また少しここでも休憩。
休憩後、「もう今日は、山は見えないかな」と思いながら歩いていたら、富士山が頭を雲の間から出していました。
途中立ち休憩をしながら、13:35には青年小屋に到着。
かかっている提灯が印象的。「八ヶ岳青年小屋五代目」って書いてある。
「あれ?遠い飲み屋っていう提灯ないの?」と思ったら、裏にちゃんとそれも書いてありました。(誰かがひっくり返してくれたのが、下の写真)
北の方角を見ると翌日登る権現岳方面の岩場が見えました。
到着後、最初にしたのは水汲み。「乙女の水」という水場が、小屋から5分ほど歩いた所にあるのです。
ここの水は、やわらかくて美味しい。でもすごく冷たいけど。
小屋ではこの水で、豆から挽いたコーヒーを入れてくれます。
水汲みのあとは、ちょいとロープワークの復習。念のため鎖場や悪場に備えてのこと。
その後は自由時間。ビールはやめにしてコーヒーをいただきました。この日はちょうど小屋の御主人である竹内さんがいらっしゃいました。竹内さんは、八ヶ岳を知り尽くした山岳ガイドさんで、このあたりの山岳救助隊隊長さんでもある。エベレストにも登ったことがあるそうで・・・。
「コワイ人かな?」と思ったら、かなり気さくな方で、小屋で出される「食」についてのこだわりを語ってくださいました。ヘリは使わず、歩荷でいろいろなものを山に上げ、ここで出される食べ物はみんな国産を使用しているそうです。
17時からスタートした夕食には、信濃牛の煮物や地元の味噌をつかったみそ汁など美味しいものが沢山でてきました。山小屋で美味しいものを食べたのはここが初めてかも。
その後、談話室でしばし仲間と歓談。ここにも、クライミングのホールドがありました。
見たら、いつも行っているジムのやりかけの課題を思い出してしまいました。早く終わらせたい!
普段の山行なら、食後はのんびりして、消灯時間の20時位には寝ちゃいますが、この日は、19時から小屋のイベントで何と落語がきけるのです。久々の落語ライブ~!
4名の方のパフォーマンスに抱腹絶倒。こんなに笑ったのは久しぶり~。笑い過ぎて、お腹が痛くなってしまいました。4名のうち3名は女性の噺家さん。
どれも面白くて、江戸の下町を舞台にした話が複数!ポンポンと出てくる江戸言葉を聞いてたら、「なんだかこういう話し方をする人がいるなあ~」と自分の周りにいる生粋の江戸っ子の皆さんを思い出しました。言葉はきついけど、根はとても優しい人達。「下界に戻ったらまた落語をききたいな」と思わせてくれる楽しいひと時でした。
その後は、小屋の御主人のご厚意で演者や宿泊者全員にお酒がふるまわれました。
下界だったらたくさん飲みたいところですが、次の日もあるので、ちょっぴりだけ~。
時計をみるとそろそろ22時。普通の小屋ならもうとっくに消灯時間ですが、まだ盛り上がってる。でも眠いので、部屋に戻り、食堂からかすかに聞こえる音楽を子守唄にこの日は眠りにつきました。