山行女 by つるぎ

2012年から始めた登山・クライミング・そしてそれにまつわる旅の記録。日々のつぶやきです。

生まれ変わりの旅 出羽三山

今回訪れた月山は、出羽三山の1つ。

出羽三山は、月山・羽黒山湯殿山の総称。明治時代以前は神仏習合の修験の山でしたが、明治に入り神道の山となりました。

f:id:gomtbytsurugi:20190814181607j:image

開山の祖は、崇峻天皇の皇子である蜂子皇子。

事の始まりは、蘇我氏による崇峻天皇の弑逆。その難を逃れるため蜂子皇子は出羽国へ。その時、3本足の烏に導かれて羽黒山に入り、苦行の末に羽黒権現の示現(お告げを受け・霊的な体験をすること)により、羽黒山・月山・湯殿山を開き、3つの神様を祀ったそうです。

普通ならPTSDになって復活不能なほど心に傷を負いそうな壮絶な体験。あるいは、リベンジを考えそうなものですが、そうはせず、苦難を乗り越え出羽三山を開いた蜂子皇子は、とても強い人だったに違いありません。

それぞれの山には意味があります。羽黒山は現世の幸せを祈る山。月山は死後の安楽と往生を祈る山。そして湯殿山は生まれ変わりを祈る山。江戸時代には庶民の間で、現在・過去・未来を巡る生まれ変わりの旅として広まっていたそうです。

f:id:gomtbytsurugi:20190815081454j:image

・・・ということを、実は泊まった宿坊の御主人と今回お世話になった先達と呼ばれる参拝者の案内人のお二人に教えていただきました。ただ山に登るだけではなく、歴史的・文化的背景を知ると、歩いていても理解が深まり、感動もひとしお。

いつか江戸時代の人のように三山を回り、生まれ変わりの旅、修験における「三関三渡の行」にまた訪れたい。