自立した登山者を目指すには、「今どこですか?」「あとどれくらいで山頂ですか?」なんて言っているようでは、失格!
そんなこと言っているようでは、「お前はもう死んでいる」というマンガではないですが、
「お前はもう遭難している」
・・・というのと同じ状態!(低山だろうと難しい山でもそれは同じ)
ということで、2013年2月3日(日)は、スクールの机上講座「地図とコンパス」でした。
内容的には、次のような感じ。
★目的:
①山の中で、自分の現在地を把握する。
②迷わないようにする。
③現在地を把握することで行先も分かるようになる。
★どうやって?:
(予習編)
①以下2つを用意
- 昭文社の「山と高原地図」(今までも私が紹介してきた地図です)
- 国土地理院発行の2万5千分の1の「地形図」(今回初めて正式に登場!)
- コース時間
- 最低限のコースの情報(分岐・方向・山小屋・水場等)
などを確認する。でも、昭文社の地図は5万分の1の縮尺なので、これでは実際の山の地形は細かく読み取れないので、
③「地形図」で、
- 谷
- 尾根
- 沢
- 傾斜(急なのか・緩やかなのか?)
- 標高差
・・・といった地形的な特徴を確認する。
④そのためには、次のようなことをする必要があります。
1. 「地形図」に磁北線を引く。
ここでいったん地形図を拡大コピーします。それから、
2. ルートを蛍光ペンでなぞる。
3. 等高線を蛍光ペンなどでなぞる。
4. 主な尾根や谷に線を入れる。
5. 分岐・ガケなど地形的特徴(人工物)は、書き込む。
6. コースタイムなど必要な情報も記入。
「磁北線って何?」と思いますよね。私もそうでした。「北」と言っても2種類あるそうです。一つは、コンパスの赤い針が指す北の方向で、これを「磁北」というそうです。もう一つは、地図の北側で「真北」というそうです。この「磁北」と「真北」には、ずれがあります。(私の説明が今一つなので、以下国土地理院の説明見て下さい。)
国土地理院のウエブ:
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/geomag/menu_01/
ずれのあるままでは、地形図とコンパスを使って山の中を歩けないので、磁北を示す磁北線を地形図に引く必要があります。引き方は、ウエブ上でも調べられるし、本も出版されているので、そちらを参考になさるか、講習会などにでてお勉強してみて下さい。
私の場合は、1をした後に、地形図を150倍あるいは200倍に拡大してコピーしてから、2~6の作業をしています。理由は
2・3・4は、ペンの色は同じだとよくわからなくなるので、違う色を使う。
予習としては、こんな感じだそうです。
(実地編)実際に歩くときのポイント
1. コンパスをもって整地する。(見える風景と地図の方向を一致させること)
2. 予習した地形を確認しながら歩く。
3. 高度も確認する。
4. 山頂などから見える遠くの山を地図と磁石を使って確認する(山座同定)
・・・こんな感じですが、慣れるまで難しいです。
以上が、机上講座の内容でしたが、これ以降、山に登るたびに、「地図読み」の実地訓練となりました。
※なお、コンパスの使い方は、ここには書きませんでしたが、知りたい方は、ご自身で是非調べてみて下さいね。
★感想
デジタル時代の世の中なので、「GPSもあるし、デジタルな地図もあるのに、今更アナログな地形図を用意してこんなことするの?」と思われる方もいらっしゃると思います。それはそれで、いいと思います。
ただし、基本がわからなければ、そういった便利グッズも使いこなせないと思います。また、デジタル系のものは、バッテリーが切れちゃえばタダの重たい機器になる可能性もあるので、とりあえず「初心者」のうちは、素直に教わった通りやろうと思います。
この後、かなり長い間「地図読みばかりの山行」が続いたのですが、それについて、社会人山岳会に入っている友人に話したところ、「地図読み大事だよ。やらないと、ヤブ山とかややこしい場所に入った時に、『あれ?尾根間違えた?』とかなるから、すご~く重要。頑張ってね。」としみじみ言われました。(きっといろいろ経験しているんだろうな。酸いも甘いも。)
なので、地味だけど必要なことなのですね。友人の顔を見て、重要性を痛感しました。
★地図の入手方法
今までにもご案内していますが、一般の書店・登山用品専門のお店・ネットショップでも購入が可能です。
②国土地理院発行の地形図:
方法1:大型書店・登山専門店で入手する。
首都圏だと、私の知る限りでは「紀伊國屋」「有隣堂」「カモシカスポーツ」「ICI石井スポーツ」で見かけました。(他にもあると思いますが・・・)
方法2:「日本地図センター」のウエブから購入
メジャーな山は、「方法1」でも入手が可能ですが、マニアックな山の地形図が必要な時や、まとめて何枚も買う場合には、「地図センター」で買った方が楽かもしれません。実店舗に在庫がない場合もあるので、個人的には、ここよく使っています。
(参考情報)
読図は、簡単には身に付かず、「机上講座への参加」、「本による自己学習」、「実地訓練」などを繰り返さないと習得が難しいです。
私もまだまだ勉強・訓練中ですが、このトピックに関しては、ウエブや本でもいろいろと紹介されています。